鹿児島trip〈1〉
1週間前、肌寒い愛媛から鹿児島へ降り立つと、もう梅が満開だった。
飛行機から降り、バスに乗り初めて見る鹿児島は、地形が面白く、違う国に来たような感覚になる。高い土地、低い土地、up and down, up and downが続き山の中に町があるみたいで、緑もたくさんある。
そしてもくもくと煙をあげ噴火する桜島。
ひゃ~噴火している!!と驚いていると、そんなのは日常茶飯事で、ほぼ毎日噴火するらしい。
朝のニュースで風向きの表示があり、ちゃんとどちらに灰が降るかという情報が流れていた。灰が降ると車も灰をかぶりそして植物も灰をかぶっている。
灰雨にうたれたフキノトウ。
1つびっくりしたのは、鹿児島のお墓。造花でもなく本当に色とりどりの花が生けられているのだ。私の地元ではシキミだけというのが通常なので、あまりににぎやかな墓地に感心であった。
今回の旅でいろいろなところへ行ったのだけど、中でも紹介したいのがしょうぶ学園。
知的障害者支援センターで、そこにはテキスタイル、木工、和紙、陶芸などの工房、ギャラリー、ショップ、パン屋さんやそば屋さんまである。皆、自由にのびのびと手を動かしていて、驚くほど未知の創造の世界が目の前に広がっていた。
陶芸の工房の片隅にあった絵。ペンで緻密に塗りあげられた絵はモザイクタイルのよう。
個性的な愛らしい造形。
nuiプロジェクトという布の工房から生まれた刺繍のプロジェクトがある。
(詳しくはホームページを見てみて下さい。http://www.shobu.jp/nui.html)
全く縫い方などは指導しないそう。独自に布と糸と向き合い、手を動かしていく。
選ぶ糸の色も違えば、ステッチの方法も違う。ひと針ひと針がその人そのもの。
こんなにも豊かな個性があふれていることにも、こんなにもすばらしい手仕事にも、ただただ感動した。
この方は只今制作中。床いっぱいに素材ピースがちりばめられている。スタッフの方のお話では、どこからでも素材を見つけてきてしまうみたいで、パンツも気がつけば糸になっていたり、タオルの繊維も1本ずつ取りだされていたり・・・。上の黒っぽい色と白っぽい色がまだらに入っている糸はプリント生地のパンツが解体されたもの。繊細なステキな素材となっていた。
この方が以前制作されていた作品も展示されていたが、とても繊細な作品だった。
薄い布にステッチとツブツブで構成されている。
これはまた別の方。よく見ると、
鮮やかな刺繍である。1つ1つが別物でありながら、全体として見ても総合的な模様や流れになっている。
この方は1年くらいをかけて1つの作品を作るらしい。シャツにまるで糸を植え付けるかのように糸をくくりつけている。縛ることによって、元々は大きなシャツが、糸で埋め尽くされ、どんどん小さくなっていく。最終的にできたものは、まさにアートピース。
これだけを見ると、まさか刺繍だなんて・・・
とにかく1つ1つ、1針1針に魅せられた。
障害がある人が制作をしているから感動したのではない、本当に命の紡ぎのような糸と針の技に心打たれたのだ。
小さなステッチの繰り返しが想像もしない壮大な創造の世界を形作っていた。
そのnuiプロジェクトがたまたま福岡県立美術館で行われている展覧会に出品されていた。帰りそれにも立ち寄って帰ってきたのだが、その話題はまた次回することに・・・。