民族学博物館
なにやらおもしろそうな展示をしているらしい・・・と聞いてから、
いてもたってもいられなくなって、強行日程で行ってきました。
久々に遠出をすると、旅行気分
曇った空に古い建物を撮ると、ほんと外国みたい!
ちなみに大阪です。
朝の駅では、ピシッとしたスーツ姿のサラリーマン達が足早に歩いていて、私の空気とあまりに違う空気をまとっていた。時間に追われている彼らに少し申し訳なく思いながらも、私はワクワクステキな場所へ、いざ!
太陽の塔がお出迎え
国立民族学博物館を目指す。今開催中の特別展「世界の織機と織物」が目当て。
平日だというのに、たくさんのお客さんがいてびっくり。意外と織りに興味ある人がいるんだなーと。
織りっていうものは、なんてシンプルなんだろうと改めて思った。
縦糸と横糸の交差によって無数に繰り出される世界。何10万円ってする高額な織機なんてなくても、その土地土地のやり方で、身近なものを利用して、ステキな織物を織っている。まず最初にびっくりしたのは、からだ機。足で縦糸のテンションをひっぱりながら、織っていく。まさに人間織り機!木の枝をクルンと丸めてそれを枠にザルを織ったりしている民族も。いろーんな織機があったけれど、基本はすべて同じなのだ。ピンと張られた縦糸に横糸を交互に織り進めていくっていうだけ。
そしてやっぱりそうよね、と思ったのは、いたってシンプルではあるが、やっぱりお湯をかけて3分みたいな簡単なものではないってこと。気の遠くなる手間暇をかけられて1つ1つが生み出されていく。婚礼や、葬儀など特別な時に使われる布、魔除けなど意味がこめられた布、民族やまた先祖代々受け継がれてきた布や技法。こんなにも布が意味を持ち、存在感があるなんて・・・
中にはこれ日本のと似ているなって思うものがあり、見ると日本国って書かれてあった。そう、日本にだってこのような布織物が(かごなども)存在していたのだ。しかし今日本でそのようなものづくりが見られるとしたら、ごくごく一部だと思う。この展示にあるような世界の様々な国の布づくりも同じように今では変わってしまっているのだろうか。
とても素敵だなと思う理由の一つに素材の力が大きくあると思う。
その土地で手に入る素材を糸に加工して布という大きな平面に仕立てている。ヤギやヒツジ、ヤマアラシの毛まで素材になり、また麻や綿といった植物繊維も、その土地によって使われる植物は多様である。
そして、縦糸と横糸の限られた世界に無限に生み出される装飾の数々にも、感服する。人間の装飾願望って・・・。どうやって織り成されるのか頭をひねってしまうほど、緻密でひたすら大変そうな模様は、魔法のよう。
(特別展は写真撮影ができなかったのでこれは常設展から撮った写真)
はあ・・・
1つ1つの織り方に頭をひねりながら展示を見ていると、あっという間に時間が過ぎてしまっていた。
フラフラしつつも気を取り直して、常設展の方へも足を運んだ。常設の方を見るのは3回目くらいだけれど、毎回何か発見があり、やはりとてもワクワクする場所である。
これなんか、ドイツの学校教材で、繕い見本と書いてある。布目に沿って刺繍することで、織ってある布みたいに見える。こんなステキな繕い方、私も学校で教えてもらいたかったーなんて思いつつ、広い博物館を足早に見て回った。ここもまともに見ていたら1日なんてあっという間に過ぎてしまいそうなのだ。
そして、今日はいつも時間がなくなり行きそびれてしまう民族学博物館の隣にある日本民芸館へも行った。この日はどっぷりと手仕事の成せる技を目の当たりにし、また自分自身の興味の向く方向を確認する機会ともなった。
布を作るっていうこと。
理由なんてなくて、いつの時代のどこの国の人でもそうであったように、生きる上での本能的な営みなんだと思う。家族を思い、守るための布、皆の憩いの場にある布、自分を表現する布、あたたかさをもたらす布。
私が魅かれるのは工芸やデザイン、美術品としての布ではなく、暮らしの中にある、身近な布。そういう布を作っていきたいなと思う。
一日で世界の様々な国と地域の布を旅し、なんだか長旅をした気分。そしてたくさんのインスピレーション受け、満たされた気持ちで帰路についた。