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2012-11-13

山の色

昔住んでいた家からは色とりどりに色づいた山がすぐそこに見えていた。

そういえばこの辺の山は色付かないなぁと思っていたのだ。

週末小田深山のネイチャーガイドツアーに参加した。

紅葉はもう少し早ければベストタイミングだったのだろうけど、それでも散りかけたしっとりした秋の色合いもよかった。

先日は森をテーマに環境についての講義を聞きに行く機会があり、今回はガイドツアーに参加し・・・と、偶然にも山、森について学ぶ機会が続いた。

知っているようで知らない世界。知っているつもりで、実は理解できていないことっていっぱいある。

本当に現代社会は人工的な環境の中に隔離されていて、自然の恩恵を感じなくても便利に暮らせてしまう。食べ物だって、スーパーに行ったらなんでもあるから、それがどのようにしてここにあるか、想像することだって忘れてる。大事なものが見えにくく、感じにくくなってしまっている気がする。

 

水はどこから来る?

森から。行ったらわかるよ、湧きでているから。(何でも近頃の子は水道って答えるらしい。)

歩いている最中、本当にぽたぽたと水は至る所からしたたり落ちていた。ああ、ここから水が生まれているのかと改めて意識すると、感謝の気持ちでいっぱいになった。

川の中にも落ち葉はいっぱい。ところどころ川底にたまっているところがある。これが川の中で生きる生物にとってはとても大事なのだそう。

ここの水はとっても透明だった。透明色って色の分野があるとしたら、その中でもとっておきの澄んだ純正の透明色って言いたい。そしてこの川の水は飲める。水を水道から汲む感覚しかない私の体は、小さな紙コップでこの悠々と流れる川から水を汲むのはどこか衝撃的な感じがしているようだった。水があふれている豊かさを感じる瞬間。うん、おいしい。

そうそう、びっくりすることに日本は世界でも有数の森林面積らしい。何でもフィンランドやスウェーデンに次ぐとか・・・なのに安い外国の材ばかりを使って、今じゃ国内の林業は立ち行かなくなっている。

ガイドツアーの先生は、林業の有り方も指摘していた。針葉樹ばかりが増えると、常緑なので落ち葉が落ちず良い土壌が育たない。えのきみたいにして育てられた杉やヒノキは根もあまり張ってないという。また伐採され運び出された木々の後にはトラックの通る道ができ、その道をそのままにして放置してあるから、大雨が降ると水がその道を川のように流れ出し、土砂災害などとなりかねない。災害というより人災とも言えるかもしれない。先生はブナなどの落葉樹を植え、50年60年前の森を取り戻そうと力を尽くしている方だった。今うちから見えている山は針葉樹だらけなのだと、私は初めて認識した。どうりで色付かないはずである。

 

ここはカラフルな色であふれている。

黄色だとかオレンジだとか、そんな簡単な言葉で片付けられない複雑な色なのだ。緑から黄色までのグラデーション。黄色からオレンジまでは少し色褪せながら茶色へ向かうグラデーション。色の世界に目を細めつつ歩いた。

自然の中にいると、現代の生活の中では薄れつつある「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」をほんの少し取り戻せる気がする。できるだけ自然に寄り添い、その感性を失くさずいつまでも忘れないでいたいと思う。

 

 

 

 

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