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2010-11-06

祖母の庭

祖母が2月に亡くなり 私が帰ってきたのが8月の終わりだった。

祖母の家の庭(畑も含まれている)には 荒れ地に咲くというオオアレチノギクが高々と立っており、なんとなくぽかんとしたさみしげな印象だった。

それでも、ちょっとしたプレゼントのように、豊作ではないけれど いつもどこかで何かがとれる。

イチジクやナツメ、ポーポーと呼ばれる南国ちっくな果物。栗、ザクロに柿。

今日は何かがあるかなと チェックをしにまず庭へ行くのが日課となり、そしてその荒れ果てた庭に息づくもの達が愛しくなった。

久しぶりに会った親戚のおばちゃんが おじいさんは実のなるもんが好きじゃったけんねぇ と言っていたのを聞き、それで果物の木があんなにたくさんあるのかと納得し 私も実のなるもんが好きだと思った。

百日草には元気をもらう。

そして ある天気のいい日に祖母の庭に立っていると、あまりに明るいのとちょうちょがたくさんいたので、天国みたいだと思った。最初抱いていた荒廃したイメージと異なって、この庭に永遠に続いていく普遍の生命を感じた。

祖母が生涯飲んでいたハブ茶。そのハブ茶ができるエビスグサは長年育てていたせいか、庭のあちこちで実をつけていた。今年からそのハブ茶は私達に受け継がれそうです。我が家では玄米を煎ったものも加え、ブレンド。 とてもこうばしくておいしいお茶だった。 

エビスグサかと見間違うササゲ(小豆に似ている)も雑草のごとく庭のあちこちで実をつけている。思わぬ収穫に出会えるとなんともうれしく、荒れ地の姿でも、庭は小さな楽園である。

そして、そんなとき熊谷守一という人について知った。 晩年の30年間全く外出せず、15坪の自宅の庭で絵を描き続けた人。庭という小さくも大きな世界に魅せられたこの人に、少し共感を覚えた私であった。

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