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2010-01-30

コオリのクニから

 
ホーと白い息を吐く。
静かな朝、すべてのものが息を止め 凍っている。
ここは青白いコオリのクニ。
ある別の次元にいる自分の存在を見るかのような感覚がしてしまう。
遠く白々しく見える家の景色は 寒そうに切なく そしてなつかしい感じがする。
そんな日、スノーストーム(雪嵐)が来るらしいよと聞いた。
そして、どうすることもなく、本当に数時間後には嵐がきた。
用事があり、車で近くの町までいったのだが、ただただまっ白で 道を見るのさえ困難だった。
無事家まで到着したのだが、そのただまっ白の背景の道中は、何かこの世のものではないような 天国への道のような白さだった。
‘それは吹雪の夜のことだった’
なんてくだりは物語の世界だったのに、私は、まさにその夜、その吹雪の中にいた。
恐ろしくうなり声をあげて風が吹き、横殴りに雪が顔に吹きつける。
台風が雨でなく雪でできていると言ったら想像してもらえるだろうか。
そして、除雪車もいない道路は雪でできた砂漠のようだった。
そんなスノーストームのことも知らなかった私は その日たくさんの荷物を持っていて、でもこの肩にのしかかった荷物がなければ 風で飛ばされたのではないかと思えたほどだ。
高いところにある私の家は 風を遮るものがない。
雪も吹きだまりである。
嵐の次の日。
おそるおそる扉を開けてみる。

雪が吹きこみ、庭は階段も段差ものみこまれ 覆われていた。

日々積もる 雪 雪 ちらちら 雪。。。
もうしばらく コオリのクニの住民で いるしかなさそうだ。

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