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2012-03-12

この日を迎えて

震災から1年。

早かったような長かったような1年である。

思い起こすと、1年前はまだスウェーデンの雪の中に暮らしていた。

あのどこか映画のワンシーンを見ているかのような信じがたい映像は現実として受け入れ難いものだった。どこか日本人でありながら、その痛みを分かち合えない罪悪感や虚無感があり、このように一瞬にしてふるさとや家族や友人を失い得るものかと思うと、私1人この遠く離れたスウェーデンにいることが急に心細くなった。

少なからずそれも影響して、実家の愛媛に帰る決断につながったと思う。この1年は、きっと被災者ではない人達も、様々な局面に立ち、人生の選択をした年だったのだろうなとふり返った。

テレビでは、ちょうど1年前のあの日のことを体験談や映像と共に1日中特集されていた。今まで何度も映像や記事で見ていたのに、今日ようやく皆と同じ地点に立ってこの震災を見つめることができた気がした。

朝から嵐のように風が吹いていた。こんな天気の時は・・・1つ私が信じていることがある。

不意に絶たれた尊い命が天に昇っていく時に、風となり、ここにいるから大丈夫と言わんばかりに吹き現れるのだ。すごい音を立てて吹く風の音を聞きつつ、亡くなったたくさんの尊き命を思い、残された人々の心の平安を祈った。

今年は寒さがねばっているが、それでも、もう春である。

あたたかい日差しを背中に受け、その陽だまりが体を溶かすように心まであたためる。

自然によって生命を脅かされることもあるが、それでもやはり、自然によって生かされている。

自然への畏怖を忘れることなく、自然の恩恵に感謝し、共に生きる暮らしを目指していきたい。

雑誌で読んだある人のインタビューに、「拡大ではなく、ポジティブに縮小する。エネルギーもエコノミーも、すべてにおいて。」とあった。ポジティブに縮小。時代を戻すことはできないけれど、行き過ぎたことを見直し、シンプルにしていくべき時だなと思った。

 

 

 

 

 

 

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